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「高齢者名義の賃貸不動産」と「家族信託」

2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症となる。
 
 先日、厚生労働省が衝撃的な発表を行いました。これによれば、現在462万人いる認知症の高齢
者が、2025年には約1.5倍の700万人になるというのです。
 結婚されてお子様もいるようなご家庭であれば、それぞれのご両親や叔父、叔母はいずれも65歳
以上になっているケースも多いのではないでしょうか。
 つまり5人に1人ということは、すべての家庭にとって認知症と無関係ではいられないということ
なのです。安部政権が介護離職ゼロを掲げているように認知症は国を挙げて取り組まなければならな
い重要な問題であるという事は前回の本コラムでも触れましたが、しかし、認知症で問題になるのは
介護だけではありません。
 
 相続を考える上でも、この認知症は大きな問題となります。
 
認知症.jpg
 
 認知症になってしまうと『意思能力がない』と判断されてしまうため、自宅を売却して、老人ホーム
に入ろうとしても売ることができません。また相続税対策で、資産の組み替えや贈与をしようにも同じ
ように意思能力の欠如からできなくなってしまいます。
 
 つまり、認知症になってしまうと、すべての財産が凍結されてしまい身動きが取れなくなってしまう
のです。そんな認知症に対する相続対策として、いま注目を集めているのが「家族信託」です。
 
 今回はこの家族信託の仕組みと活用法について、Aさんの事例を元にご紹介していきます。
この家族信託を使っていれば、もっと円滑に相続を行うことができた事例です。
 
 Aの実母が亡くなったのは昨年の8月でした。埼玉県のアパートを相続しましたが、正直立地には恵
まれているとは言い難いアパートでした。Aの実母は10年程前から認知症を患い最期は老人ホームで
暮らしていました。
 認知症を患っていたため、アパートをリフォームすることも売却することもできませんでした。例え
家族といえども、手の出しようがなかったのです。
 
 亡くなった後に現地を訪れてみましたが、アパートの惨状は目を覆うばかりだったそうです。白の塗
装はボロボロに剥げ落ち、階段の鉄部は赤錆だらけで、ところどころ小さな穴まで開いてたそうです。
認知症になってから一切手入れをしてこなかったのでまるで廃墟のようになってしまったとの事でした。
 
 認知症になって意思能力が亡くなってしまっても、「成年後見制度」を利用すれば、後見人によって
財産管理や契約行為ができるようになるので、制度上は財産を保全することができます。
 しかし、この後見制度を使うことは簡単ではありません。成年後見制度は、申立から実際に後見人が
決まるまで3~10ヶ月ほどかかります。手続きが煩雑で時間もかかるため使い勝手が良いとは言えな
いのが実情です。
 
 そこでこうした問題点を解決してくれる制度が「家族信託」です。
 
 認知症になる前に家族信託をしていれば家族が財産を管理、処分することができるようになります。
裁判所の許可もいりません。
 家族信託では、自らの財産を信託する「委託者」財産の管理・処分を行う「受託者」財産から生まれ
る利益を受け取る「受益者」の3者を設定します。
 
家賃収入.jpg
 
 先ほどのケースでは、Aの実母が「委託者」と「受益者」となり、A自身が「受託者」となります。
 
 そうすると、賃貸管理会社とのやり取りはAが行いその家賃収入はAの実母が受け取ることになりま
す。リフォームはもちろん売却についての意思決定も受託者である知人の判断で行うことができるよう
になるのです。
 健康なうちは家賃を受け取り、万が一、認知症になった場合でも、必要に応じてアパートを売却する
こともできるようになります。 
 もちろん、事前の信託契約において、受託者の契約行為の範囲を定めることもできるので、日常的な
管理代行業務だけを委託し、売却はできないようにすることもできます。
 
 ですから、自身の判断力が落ちてきた場合でも、信頼できる子どもたちに信託して、利益だけを受け
取るようにすることが可能です。
 なお、信託した財産の所有権は、もとの所有者から受託者に変更されることになります。紹介した事
例で、もし家族信託をしていた場合、Aの祖母のアパートの所有権は受託者であるAに移ることになる
のです。
 
 貸主さんの中にはこの所有権が移ることに、抵抗がある方もいるかもしれません。
 
 ただ、受益者を自分自身に設定しておけば、利益がアパートを管理・運営する受託者の元にいくこと
はありません。また、委託者が契約を解除できるように設定しておけば、信託契約自体を解除すること
も可能ですから、所有権を取り戻すこともできます。
 
 このように家族信託は、これまでの相続対策では難しかったことが、解決しやすくなる使い勝手の良
い制度です。使い方次第で相続にまつわる様々な問題を解消できる事が今注目されている一番の理由で
しょう。