不動産投資と相続対策のバランス

【アパート建築の最大のメリットは・・】

 

近年、大手のハウスメーカーや各種建設会社等が『節税対策(相続対策)セミナー』と謳って、
至るところで「アパート」「マンション」建築の説明会を開催しています。
確かに、アパート・マンション建築・運営は、将来の相続対策に繋がりますが、
10年・20年後の長期ビジョンで考えた場合、資産活用という観点から見て、
果たして有効的な方法なのでしょうか。
 
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例えば、預金1億円かけてアパートを建築した場合、
概ね、資産評価が40~50%程度まで下がると言われています。(固定資産評価)
また、そこから建物を賃貸することにより、借家権割合(30%)が差し引かれ、
元々1億円の現金資産が3,500万円程度の資産評価(建物評価)となり、
60~70%程度の資産圧縮が可能となります。
 
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①現金1億円でアパート建築 ⇒ 固定資産評価が約4,000~5,000万円まで圧縮される

②5,000万円の建物評価    ⇒ 賃貸することで借家権割合30%差し引かれ、
最終的な資産評価が3,500万円程度となる。
(※建物構造や建築工法によって異なります。)

 
 
 
1億円の資産が3,500万円程度に圧縮されれば、相続対策としては効果的です。
また、当然ながら賃料という現金収入もあるため「納税準備」まで考えると一石二鳥の効果を齎します。
 
 
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しかし、不動産投資という観点から見た場合、本当に有効な資産活用と言えるのでしょうか。
ハウスメーカーや建築会社の営業担当者は、
「アパート・マンション経営(建築)は相続対策に有効です。」と、
口をそろえて言います。
確かに、上記の通り、資産圧縮という視点では大きな効果を発揮しますが、
「そもそもの財産を目減りさせることなく維持する」、
若しくは、「資産活用を行うことによって財産を増やす」
という視点をどれだけ勘案した上で提案しているのでしょうか。
相続対策とは言うものの、リスクを負って投資をしているのだから、
それに見合う成果(リターン)を得るのは当然なのです。

 

【不動産投資や相続対策にも比較検討が必要】

 

ハウスメーカーや建築会社の方々と、私たち宅建事業者との視点の違いは、
投資効率を比較するという視点の有無です。
 
 
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上記事例の場合、土地(敷地)については、
元々所有している土地に対して新たにアパートを建築するケースであれば、
投資効率については一定水準を見込むことが可能ですが、
土地についても新たに取得た上でアパートを建築する場合、
利回りがかなり低くなり、資金回収が困難となる可能性があります。

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A:元々の土地所有の場合
  土地取得費0円 + 建築費1億円=1億円(資金投下) 
     ⇒ 利回り10%を見込めば賃料収入1000万円/年 必要
B:土地を新たに取得する場合
  ①土地取得費1億円のケース  + 建築費1億円 =2億円   
     ⇒ 利回り10%を見込めば賃料収入2,000万円/年 必要
  ②土地取得費8千万円のケース + 建築費1億円=1.8億円 
     ⇒ 利回り10%を見込めば賃料収入1,800万円/年 必要 
 
 
建築費1億円程度のアパートであれば賃料収入は概ね1,000万円/年が最大かと思われます。
賃料収入1,800万円や2,000万円/年など不可能に近い数字です。
また、新築時の収入から経年劣化による収入の減少も想定する必要があります。
 
 
 
また,逆算した場合、土地建物合計での利回りを計算すると以下の通りとなります。
(賃料収入が1,000万円/年の場合)
 
①土地1億円+建物1億円  =2億円  ⇒投資利回り5%
②土地8千万円+建物1億円=1.8億円⇒投資利回り5.55%
 
利回り5%台という数字は、不動産投資ではかなり低い水準となり、
将来のリスクを考えた場合、投資検討を断念する方が望ましい数字です。
また、この利回りは表面利回りにつき、諸経費などを勘案した実質利回り
は記載数値よりも低くなります。
 
 
このようなことから、「アパート新築」という不動産投資は、
相続対策という観点からは大きな効果を齎してくれますが、
投資・収益性という観点から見た場合、
元々所有している土地に新築投資を行う場合は有効であるが、
土地を新たに取得してまで行うものではないという見解となります。
尚、当然ながら、土地を元々所有している場合でも、
立地条件によって建築判断を行う必要があります。
 
 

【流通投資不動産で、相続対策と資産運用のバランスを図る】

 
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ただ、いずれにしてもご家族事情や将来のことを想定した時に相続対策を行う必要がある場合、
やはり不動産投資での相続対策は、「資産圧縮」という税務上有利な効果があり、
且つ、実物(現物)投資という安定性及びキャッシュを生む投資であることなど、
多角的な視点から判断しても効果的な相続対策です。

最近は、不動産投資が活発に行われている市場を活用して、
一般個人の方々も投資用不動産の売買を積極的に行うケースも増えました。
 
そのようなことから、既に流通している投資用不動産で相続対策を行うという方法が
一般化されつつあります。

 

■流通投資不動産の種類

 ・「アパート」や「ハイツ」などの一棟物件         
     ⇒ 利回り8~12%程度が主流

 ・「マンション」「ビル」などの一棟物件          
     ⇒ 利回り7~15%程度が主流

 ・「分譲マンション」「事務所・店舗一室」などの区分所有物件 
     ⇒ 利回り6~10%程度が主流

 ・「事業所」「テナント」などの一棟一括貸し物件        
     ⇒ 利回り10~16%程度が主流

 
 
また、新築アパート建築よりも流通投資用不動産の方が投資効率が高く、
相続時の資産評価やキャッシュフローという観点から見ても相続対策にも大きな効果がります。
(金融商品のように「ハイリターン=ハイリスク」という極端な傾向にもなりません。)
流通投資不動産についても、新築アパートと同様に賃料保証やサブリースなど、
安定的な運用形態の選択も可能につき、不動産投資についてのサポートがあれば
魅力的な不動産投資や相続対策となります。
 
その他、投資効率が良いということは、
資金回収についてもアパート建築よりも比較的短期にて完了します。
但し、相続時の資産圧縮という部分では、アパート建築に劣るケースが多いと思われます。
(その他、メンテナンスコストリスクについても勘案要。)
 
 
尚、『アパート建築』『流通投資不動産』のいずれの場合でも、
それぞれの特徴によるメリット・デメリットを把握し、
不動産投資及び相続対策という両方の角度から検証した上での投資判断が望まれます。
 
 
 
 
 
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