相続した実家を貸す時の注意点

日本国内で毎年100万件以上発生する相続。
株式・預金・保険など様々な相続資産の中で、親が住んでいたい実家を相続する方も
多いのではないでしょうか。その相続した“実家”、その後はどうしていますか。
“売却処分” “空き家のまま” “親族や本人が利用している” 等々・・・
ご家庭のご事情やお考えによって対応方法は様々だと思います。
また、近年は、相続した実家を賃貸して家賃収入を得るという選択をしている方々が増えています。

 

そこで、今回は、相続した実家を貸す時の注意点をまとめてみました。

 

■実家を貸す時の注意点

①相続登記を行う。

 

実家を貸す時、原則、所有者が賃貸人(貸主)となりますが、
不動産賃貸借契約の手続きにおいて、不動産仲介会社は賃貸人と所有者が
同一なのか否かを確認します。
一般的には登記名義人と賃貸人が同一人物なのかという確認方法となることから、
相続登記手続きがされておらず賃貸人と登記名義人が異なっている場合、
その実家(賃貸対象物件)が本当に賃貸人の名義なのか否か(正式に相続を受けているのかどうか)
を確認します。その際、賃貸人の住民票・戸籍謄本や被相続人(父親や母親など)の
戸籍や戸籍の除票なども取得しなければならない可能性があり、手間暇がかかってしまいます。
また、現在、相続登記は任意ですが、2024年を目途に相続登記は義務化される予定となっていることから、
実家を貸すためという理由だけではなく、数年後を見据えて相続登記を行っておく方が望ましいと思います。

 

②家財処分を効果的に行う。

 

実家には家財道具や日用品・その他多量の荷物が残地されているケースが多くあります。
元々の家主(相続人の父親や母親など)の年齢的に見ても、
「物を大切にする」「物を捨てない」という教育を受けた世代が多く、
大型家具や電化製品は当然のこと、押し入れ満杯に閉じ込められた衣類や布団、
納戸に長期間収納された貰い物のタオルセットや消耗品など・・・
「とにかく荷物が大量にありどうしよう」、と嘆いている相続人も多いです。

そのような実家の室内に残地された家財処分の方法は、
次のような流れで処分・整理することをお勧めします。

1.先ずは、ご自身で必要な物を整理する。
  これは、当然のことで、既に行っている方が殆どかと思いますが、
  本件の場合は、“最終確認”という意味合いです。資産性のあるもの(金品等)や
  思い出の品など、必要な物品を整理し尽くしましょう。

2.ジャンルや専門別の買取業者や総合リサイクル業者などの買取見積もりを
  依頼・比較して、条件良い相手に買取依頼する。
  家電や家具、衣類(着物など)や雑貨等々・・、市場価値があるものなどは、
  良い条件で買い取ってもらえるよう見積りを依頼します。

3.複数の処分業者に相見積もりを依頼する。
  処分費用については、依頼する業者によって、見積額が大きく異なるケースもあります。
  できれば3社程度の相見積もりを行い、条件が良い業者に依頼しましょう。


以上が基本的な家財処分の効果的な方法ですが、
実家を貸す手続きを依頼する不動産会社が決まっていれば、
その不動産会社から紹介を受けた各業者に依頼することで手間暇も省けます。
多くの不動産会社は、提携業者やよく依頼する良心的な業者を知っている場合がありますので、
ご相談してみても良いのではないでしょうか。

 

③リフォーム工事の施工箇所などを見極める。

 

相続した実家、多くの場合が一定の建築年月が経過している住宅かと思います。
また、相続人ご本人が生まれ育った住宅というケースも多いのではないでしょうか。
実家を賃貸する場合、その実家は、賃借人(借主)から見れば「賃貸住宅」という“商品”となります。
その商品の価値を出来るだけ高めて効果的な賃貸活用を行うためには、
一定のリフォーム工事が必要な場合が多くあります。
ただ、闇雲にリフォーム工事を施しても、実家の価値とそれに見合う賃料設定にならなければ
工事を施した価値や意味がありません。

そこで、リフォーム工事を行う際の費用目安について考える必要がありますが、
弊社では、「実家を貸す時に得る賃料の2~3年程度まで」という目安を設けています。
例えば、賃料設定が10万円の場合、最大240~360万円程度として収支計画を立てます。
勿論、工事費用が20~30万円程度で済む住宅も沢山あります。
このように、リフォーム工事費用が安価に対応できれば望ましいのですが、
冒頭に記載の通り、実家の賃貸の場合、一定の築年月が経過している住宅が多く、
ケースによってはキッチンなどの水回り設備の交換が必要な住宅もあり、
100万円という単位でリフォーム工事費用が掛かる実家も珍しくありません。

ただ、賃貸する実家が利便性や環境の良い立地の場合、高額な賃料設定が可能で
短期間でリフォーム工事費用が回収可能という事例もあります。
また、実家を貸すというタイミングに合わせて、「外壁塗装や屋根工事なども行いたい」
というお考えの方もおられます。
その場合は、実家を貸した場合の賃貸収支シュミレーションだけでは測れない
資産(財産)価値の向上という観点となることから、大規模な工事を行う場合は、
長期的な視点で考える必要があります。
ただ、大規模なリフォーム工事を行う場合でも、工事費用の原資は賃料収入で賄うという
考え方でも良いかと思います。

 

④火災保険の加入

 

実家を貸した時、賃借人には借家人賠償責任保険という火災保険にご加入頂きます。
その内容は、万一、賃借人が借りている住宅を火災などで損害を与えてしまった場合、
法律上の賠償責任を保証するものです。
よって、賃借人の責任にて実家が損傷などした場合は、この保険で賄うことが出来ますが、
台風や水害などの自然災害で起こった建物の損傷については、
賃貸人側の責任及び負担にて建物を修理しなければなりません。
そのような時のために、賃貸人は建物所有者という立場として火災保険に加入することが望まれます。

 

~ まとめ ~

 

実家を貸す時の注意点

①相続登記を行う
理由:賃貸するためには、賃貸人と登記名義人が同一人物か否かの確認必要。
   また、2024年頃に相続登記が義務化されるため。

②家財処分を効果的に行う
理由:市場価値がある家財については、出来るだけ良い条件で買い取ってもらう。
   依頼する業者によって、家財処分費用が大きく異なる場合があることから
   複数からの見積りをとる。

③リフォーム工事の施工箇所などを見極める
理由:賃貸住宅としての価値向上のためのリフォーム工事であるため、
   収支バランスを考えた範囲内の工事とする。

④火災保険の加入
理由:台風や水害などの自然災害時による建物損傷については、
   賃貸人側の責任と負担にて建物を修理する必要がある。

以上が、実家を貸す時の注意点や注意する理由です。

近年の住宅流通市場を見ても、今後、実家を賃貸する方々が増えてくることが想定できます。
また、借りる方も、“夢のマイホーム” や “持ち家志向” から、
“身軽な賃貸住宅生活” へとシフトしている傾向が伺えます。そのような賃貸事情から、
今後、益々、賃貸住宅の流通が増えていく中で、先代から引き継いだ大切な資産(実家)を
効果的に活用するための基本的な内容をとりまとめてみました。

是非、今後、実家を貸す時にお役立て頂ければと思います。

 

 

 

 

 

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