持ち家を「売る」か「貸す」かは、「貸す」に軍配!?

住まなくなった持ち家、親から相続した実家、
空き家のまま放置すれば建物の劣化が早くなるので何とかしたいけどどうしよう・・。
売却して換金する方が良いのか・・、賃貸で活用する方が良いのか・・、
悩むところです。


 

「売るか」「貸すか」の判断材料としては、
金銭的メリットが大きいのはどちらなのかということが
最大のポイントになるかと思います。
持ち家の「売却」と「賃貸」、そもそも性質が異なる対応方法につき、
全く同じ土俵で比較検討することは出来ませんが、
それぞれの前提条件を設けた比較方法があります。

その比較方法を基に、
私たちが今まで多くの住宅の売却処分と賃貸活用の比較検討を行った実績では
賃貸活用の方が金銭的メリットが大きいケースが多いという一定の見解があります。

 

その比較方法や基本的条件についてご説明させて頂きます。


 

【 持ち家の「売却」と「賃貸」の比較計算方法 】
※前提条件:「即売却した場合」と「5年間賃貸した後に売却した場合」の比較。

①)即売却した場合の売却収支を計算する。
  売却査定額-売却諸経費=売却収支額

②)賃貸期間を定めて賃貸収支を計算する ※5年間賃貸した場合
  5年間の賃料収入-5年間の維持費用=賃貸収支額

③)賃貸期間満了後に売却した場合の売却収支を計算する ※5年後に売却した場合
  5年後に売却した場合の売却査定額(建物償却勘案)-売却諸費用=5年後に売却した場合の収支額

④)①「売却収支額」と(②「賃貸収支額」+③「5年後に売却した場合の収支額」)を比較する。

以上のような計算が「売却」と「賃貸」の比較方法です。


 

この比較方法を基に、実際の比較事例をご紹介させて頂きます。


事例① 種類:一戸建 築年数:18年 間取り:4LDK
≪即売却処分した場合の査定≫
売却査定価格:3,400万円 - 売却諸経費:125万円 = 売却収支:3,275万円

≪5年間賃貸活用後に売却処分した場合の査定≫
賃貸収入:720万円/5年間(月額賃料12万円)- 賃貸維持費用:150万円/5年間
= 賃貸収支:570万円
5年後の売却査定価格:3,200万円 - 売却諸費用:120万円 = 売却収支:3,080万円
賃貸収支570万円 + 売却収支3,080万円 = 賃貸・売却総収支:3,650万円

即売却処分するよりも、5年間賃貸した後に売却処分する方が375万円収入が多くなります。

 

事例② 種類:一戸建 築年数:30年 間取り:5DK
≪即売却処分した場合の査定≫
売却査定価格:2,800万円 - 売却諸経費:140万円 = 売却収支:2,660万円

≪10年間賃貸活用後に売却処分した場合の査定≫
賃貸収入:1,200万円/10年間(月額賃料10万円) - 賃貸維持費用:200万円/10年間
= 賃貸収支:1,000万円
10年後の売却価格:2,500万円 - 売却諸費用:130万円 = 売却収支2,370万円
賃貸収支:1,000万円 + 売却収支:2,370万円 = 賃貸・売却総収支3,370万円

即売却処分するよりも、10年間賃貸した後に売却処分する方が710万円収入が多くなります。

 

以上の通り、事例を2つご案内させて頂きましたが、
それぞれ数百万円単位で金額差が出ることがわかります。
理由は、
「一定期間は賃貸活用して賃料収益を上げた後に売却処分した方が効果的である」
ということです。
勿論、現在と5年後、又は10年後の経済情勢や地価動向などを比較することは出来ないため、
あくまで同程度ということが前提条件です。


また、上記の事例を比較した場合、原則、賃貸期間が長ければ長いほど
「売却」よりも「賃貸」の方が金銭的メリットが大きくなるという考えです。
この考え方は、「一戸建」「マンション」共通していますが、
マンションの場合、管理費や修繕積立金などのランニングコストが高い物件については、
そもそもの収益性が低くなることは否めません。


 

【持ち家を賃貸した時のリスクについて】


賃貸には“賃料収入”という大きなメリットがありますが、
デメリット(リスク)もあります。そのデメリット(リスク)について考えてみます。

先ず、賃貸活用を選択する場合の大きなポイントとして、
建物の築年数が10年程度以上経過した物件が望ましいです。
例えば、築30年の住宅が5年間賃貸した後、
築35年になって売却しても建物価値はあまり変わらないことから、
5年間の賃料収益の殆どがプラスとして計上されます。


しかし、例えば築3年のまだ新しい住宅が築8年となって売却した場合、
中古住宅流通上の建物価値については築30年の住宅の5年経過よりも下落幅は大きくなるため、
5年間に得た賃料収益が建物価値の下落によって相殺されてしまい
賃貸メリットが薄くなる可能性があります。
ただ、当然ではありますが、築年数が浅い物件の方が賃料収入が高いことは言うまでもありません。


 

次に、修繕負担についても想定しておく必要があります。
住宅を賃貸している限り、水栓や給湯器などの住宅設備が故障した場合、
原則、賃貸人側に修繕義務があります。
入居者との対応や修繕手配などは管理を委託する不動産会社に任せれば良いですが、
修繕費用などの実費負担は賃貸人です。


また、時には雨漏れや外壁の劣化など、大規模な修繕工事が必要な場合もあります。
ただ、いずれにしても中長期的な視点でみれば、
数百万円の利益が見込める賃料収益からの費用捻出となることから、
修繕費用も必要経費という考えのもと、賃貸収支シュミレーションを行います。

また、屋根や外壁塗装などの大規模工事を行った場合
、建物価値が向上することから、将来の売却時にはプラスとして評価されます。

 

【持ち家の「売却」と「賃貸」の比較を不動産会社に相談する時の注意点。】

今回、ご説明させていただいた内容が、どの物件にでも全て当てはまるという訳ではありません。
不動産(持ち家)は属性(個性)が強いことから、具体的に賃貸活用を検討する場合、
それぞれの物件についてシュミレーションする必要があります。
その際、一般的には不動産会社に相談することになると思いますが、
その時の注意事項があります。

― 注意事項 -
・不動産会社は“「売却」の方が効果的である”というシュミレーションを作成する場合が多い。
・賃貸リスクを強調する場合がある。

 

上記2つの共通の目的は「賃貸よりも売却を勧める」ということです。
理由は、不動産会社にとって「賃貸」よりも「売却」の方が、
自社にとって利益が大きいからです。
不動産会社(仲介会社)は手数料収入のビジネスです。


賃貸の場合の手数料は、賃料の1ヵ月分程度です。
一方、売買の手数料は売買価格に対する3%となります。
例えば、一戸建住宅の売買時の価格が3,000万円、
賃貸時の賃料が12万円とすれば、
「賃貸の手数料=12万円」「売買の手数料=90万円」となることから、
売買を勧めた方が明らかに不動産会社にとって利益があります。
不動産会社にご相談の際は、そのようなことを理解しておくことが必要です。


【まとめ】

◆持ち家の「売却」と「賃貸」との比較方法は、即売却した売却収支額と、
 一定期間賃貸活用した賃貸収支+その後の売却収支額を合計した金額を比較する。
 その計算方法で比較すれば、賃貸活用した方が金銭的メリットがある住宅が多い。

◆賃貸活用する期間が長ければ長いほど、売却よりも賃貸の金銭的メリットが発揮されやすい。

◆築後10年程度以上経過している住宅が賃貸の金銭的メリットが発揮されやすい。

◆賃貸期間中の修繕義務は賃貸人側にある。
 その修繕費用は必要経費として賃貸シュミレーションに含める。

◆持ち家の「売却」と「賃貸」との比較について、不動産会社に相談する場合は、
 「売却」を勧められることを想定しておく。

 

いかかでしたでしょうか。
本件の内容は、私たちが今まで多くのお客様のご相談に対応してきた経験を基に
ご案内させて頂きましたが、当然、「売却」の方が望ましい場合もあります。
また、賃貸の方が金銭的メリットが良くても、
それぞれのご事情や考え方によっても判断は異なります。
(※本件説明内容では、税制措置面など個別要件については勘案しておりません。)

持ち家を「売却にしようか・・」「賃貸にしようか・・」とお悩みの方、
ご参考いただければ幸いです。

 

 

 

 

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