転勤辞令、効果的な住宅ローンの返済方法の検証

2020年の初頭から世間を混乱に導いた新型ウイルス。
その後、私たちの生活を一変させました。
その中で、人々の生活基盤である労働について
「リモートワーク(テレワーク)」「在宅勤務」など、
働き方改革が一段と進んだ感じがします。


しかし、業種や会社の事情などによって、
以前からのワークスタイルを変えることが難しい労働環境に
おかれている方々も多くおられるのが実情です。
その中でも、「転勤辞令」という避けては通れない組織事情を
抱えている企業は今でも多くあることも現実かと思います。


 

「マイホームを購入した途端、転勤となった。」
「住宅ローンがまだまだ残っているのに、転勤辞令が出た。」などなど・・、
ライフプラン変更の中には、“家計の見直し”が大きなポイントとなります。


また、マイホームを購入した方々の多く(殆ど)が、住宅ローンを組んでいます。
そこで、転勤となれば「売却した方が良いのか。」「賃貸活用すれば良いのか。」
という選択に迫らせます。
その決断については、「売却価格」と「賃貸収支」という二者によって
決定することとなりますが、そのためには様々な角度から検証行い判断することが必要です。


 

ここでは、転勤になった場合、残っている住宅ローンの返済のために売却が良いのか、
又は、賃貸が良いのかを決定するための判断方法についてご案内させて頂きます。

 

①先ずは、売却した場合の査定依頼を行います


査定額が分かれば次の計算式にて計算します。
 ⇒「売却査定(想定)額」-「購入当時の取得価格+取得時の諸費用+売却時の諸費用
+利払い総額+その他ランニングコスト(固都税や管理費等)の総額」=「売却収支」を確認。

ポイント・・この「売却収支」により、プラス(利益)が発生するのであれば、売却検討をお勧めします。
例)
物件種類:一戸建 居住期間5年 売却査定額3,000万円
当時の取得価格2,400万円 取得時の諸費用200万円 売却時の諸費用100万円
利払い総額120万円(5年間) ランニングコスト総額60万円(5年間)
3,000万円-(2,400万円+200万円+100万円+120万円+60万円)=120万円

この事例ではプラス利益につき、売却をお勧めします。
尚、この計算式で、プラス(利益)収支になるケースは少なく、
この収支がプラスで売却を行った場合は、5年間の居住費(住宅費)
が発生しなかったという解釈になります。
よって、事例のケースであれば、売却収支はプラスとなることから、
「売却が望ましい」という見解になります。


 

②次に、賃貸査定依頼及び賃貸収支を作成致します。


そして、査定賃料とご自身が居住していた期間を勘案して、
今までこの住宅を賃貸で居住していたと仮定し、
居住期間中に支払った「賃料相当額」を計算します。
その計算した「賃料相当額」を、①の「売却収支」から差し引いて、
利益が発生するのか否か確認します。

ポイント・・①の「売却収支」で利益が出るのであれば、
今回計算した「賃料相当額」を差し引けば、大幅に(売却収支以上に)利益が出ます。
また、①の「売却収支」でマイナスだった場合でも、
「賃料相当額」を差し引けばプラスになる場合もあります。

尚、この計算にて大幅に利益が出れば、売却検討を行い、
利益幅が少ない場合やマイナスの場合は、賃貸も視野に入れながら検討することをお勧めします。
例)
査定賃料10万円(月額) 居住期間5年間 賃料相当額10万円×12ヵ月×5年=600万円
マイホームを賃貸で居住していたと仮定すれば、合計600万円の賃料を支払っていた
ということになります。

上記①で算出した「売却収支」が以下の場合

◇ケースA)・・売却収支がプラス100万円の場合
600万円+100万円=700万円(プラス収支)

◇ケースB)・・売却収支がマイナス300万円の場合
600万円+▲300万円=300万円(プラス収支)

◇ケースC)売却収支がマイナス800万円の場合
600万円+▲800万円=200万円(マイナス収支)

上記の事例では、ケースA)が大幅なプラス収支、ケースB)がプラス収支、
そしてケースC)がマイナス収支となりました。
収支からの見解としては、ケースA)は売却をお勧めします。
また、ケースB)とC)の場合は売却と賃貸の比較検討をお勧めします。


 

③最後に、賃貸収支のキャッシュフローがプラスになるか否かを確認します。


例)物件種類:一戸建 査定賃料10万円(月額) 住宅ローン返済6万円(月々)
  ランニングコスト(固定資産税等)15万円(年間)
(10万円×12ヵ月)-(6万円×12ヵ月)-15万円=33万円プラス(キャッシュフロー収支)

賃貸査定を依頼した「賃料査定」を基に、賃貸シュミレーションを行い、
マイナスであればキャッシュフローベースでは賃貸には向いていないため、
基本的には売却をお勧めします。
また、プラス(利益)収支であれば、「売却収支」と比較の上、賃貸検討もお勧めします。

尚、マイホーム購入時に自己資金の投入額が多いケースほど、
賃貸収支のキャッシュフローがプラス収支となる率が高くなります。
また、物件種別では、マンションの場合は管理費・修繕積立金が毎月発生することから、
一戸建と比べた場合、キャッシュフローの収支がマイナスとなるケースが発生しやすくなります。


 

お金のことと、ご自身のご事情を照らし合わせて考える

近年は、住宅ローン金利も低く推移しており、
売却処分せずに賃貸活用を選択する方々も多くなっていますが、
先ずは、マイホームの取得原価・諸経費・ランニングコストを把握した上で、
売却想定額や賃貸活用時の想定賃料などを勘案して客観的な判断材料を確認することが必要です。
そして、その上でご自身やご家族のご事情など総合的な視点で
最終的な方法を選択するという順序にて決定することが望ましいかと思います。


 

税制面の視点・金融機関との調整

また、今回のご案内では、税制面の優遇措置や不動産収入に伴う所得税などは勘案しておりませんが、
売買価格や賃貸収支、並びにマイホームご所有者様の内容によっては、
税務面からの視点を優先的に考えた上で判断することが望ましい場合もあります。

尚、住宅ローンの借り入れ当時、金融機関の担当者からは
「住宅ローンはお客様ご自身の住宅取得を目的とするために融資するものです。
それを賃貸物件として利用した場合は、一括返済して頂きます。」
というご説明を受けたのではないでしょうか。

確かに、原則、住宅ローンは“マイホーム取得”のための融資につき、
低金利に設定されているという現実があります。
しかし、ご自身のやむを得ない事情(転勤など)により住み続けることが困難となった場合は、
金融機関にご相談の上、賃貸活用することについて承諾頂くことが可能なケースが増えています・。
(フラット35をご利用の方も同様です。)


 

いずれにしても、マイホーム購入後の「転勤辞令」は、
ライフプランを大きく見直さなければならないタイミングとなります。
何十年と支払い続けることを想定している『住宅ローン』について、
売却処分して完済する方が望ましいのか、または
それよりも賃貸活用した収入から支払い続ける方が望ましいのか、
判断が難しいところです。

既に、転勤辞令が出てマイホームの取扱いについてお悩みの方、
また、今後、転勤の可能性が高い方など、
専門家に相談することで効果的な住宅ローンの返済方法が見つかるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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