増え続ける空き家、国は「税優遇」解除を検討

人口減や超高齢化社会を背景に空き家の増加が深刻になっています。国の調査では賃貸用等の住宅を除いた全国の空家数は約349万戸にもなり、団塊世代の多くが75歳を迎える令和7年以降は更に急増することが懸念されています。

 

■現在の空き家の状況
国土交通省の住宅土地統計調査によると令和3年時点の空き家の総数は849万戸にも及んでいます。この戸数は20年前の576万戸から見て、おおよそ約1.5倍に増加しています。また、種類別の内訳では、賃貸用や売却用などを除いたその他の住宅(実質的な放置空き家)が349万戸となり、この20年間で約1.9倍にもなっています。尚、その他の住宅349万戸のうち、一戸建(木造)が最も多い240万戸となります。

 

■国は固定資産税などの優遇措置の見直しを検討
国土交通省はこれからの空き家の増加の対策として、管理不十分な空き家に対して、固定資産税等優遇措置の見直しの検討を始めました。現在、住宅が建っている土地に対して200平方メートルまでは固定資産税評価額が6分の1に減額されています。(小規模住宅用地の特例)しかし、国や地方自治体が特定した管理不十分な空き家に対しては、その減額措置を見直す(無くす)ことを検討しています。早ければ、令和6年度にも施行決定したい考えのようです。

 

■現在の空家対策特別措置法では、空き家対策にはならない!?
平成27年2月26日施行された現行の空家対策特別措置法は、すぐにでも倒壊の危険性があるような建物のみが対象につき、空き家対策としの効果はかなり限定的な印象です。法施行から8年程度経過しても、益々増え続けている全国の空き家、国も対策強化に迫られている大きな社会問題となっているのです。

 

■今後、改定が検討される空家対策特別措置法の内容
現行の空き家対策特別措置法は、周辺地域の環境などに深刻な影響を及ぼしている場合や、地域住民の生命に影響を及ぼす場合など、相当程度の空き家の劣化・損傷などがなければ税の優遇措置の解除対象となりませんでした。しかし、今後は「敷地に雑草が生い茂っている」「窓が割れている。」など、明らかに空き家として放置されているような住宅についても、税優遇措置解除の対象となるよう検討がなされています。(今後の指針にて決定)

 

■具体的に空き家の税優遇措置が解除されるとどうなる!?
例えば、神戸市東灘区の平均的な規模の住宅(建物100㎡ 土地80㎡)が改定される空き家対策特別措置法の対象となった場合。(税優遇措置が有る場合と無い場合の比較)

①(税優遇措置あり)
建物の固定資産税(都市計画税含む)40,000円/年
土地の固定資産税(都市計画税含む) 50,000円/年
合  計              90,000円/年

②(税優遇措置なし)
建物の固定資産税(都市計画税含む)40,000円/年
土地の固定資産税(都市計画税含む)300,000円/年
合  計             340,000円/年

                                                    差額:250,000円/年      
 備考)元々、建物に対しては税優遇措置が無いために同額

上記のように、土地に対する固定資産税額は大幅に上がるため、空き家のまま放置することが懸念となり、 利活用や処分など、空き家対策を検討する所有者が増えることを期待されています。

 

■税優遇措置が解除されないための対策
今後、空き家対策特別措置法が改正され、管理が不十分な空き家に対して税優遇措置が解除されることが想定されます。そのような法改正がされた場合、空き家の定期的な点検など、税優遇措置が解除されないよう維持管理に大きく負担が伴うこととなりますが、逆に、法改正をきっかけとして、空き家を活用することで収益を生む有効な住宅として生かすこともできます。

例) ・空き家のまま放置した結果、税優遇措置が解除された場合。
※上記の一般的な規模の住宅のケース
固定資産税等の負担・・・340,000円/年

・空き家を賃貸し、有効活用した場合。※上記の一般的な規模の住宅のケース
賃料収入100,000円/月×12ヵ月=1,200,000円/年
賃料収入1,200,000円-固定資産税等90,000円/年=1,110,000円/年(収入)

空き家のまま放置した場合と、空き家を有効活用した場合の経済格差
340,000円+1,110,000円=1,450,000円/年

このように、空き家を有効活用することで「不(負)動産」を「不(富)動産」に変えることが出来ます。

 

■私たちに出来ること。
私たちトップライフは、国の支援を受けた「一般社団法人 移住・住み替え支援機構」が提供する空き家対策サービス「マイホーム借上げ制度」の協賛事業者として、地域の空き家対策に寄与する活動を行ってます。 この「マイホーム借上げ制度」は神戸市を含む日本全国多くの地方自治体が推奨する住宅の賃貸活用制度です。
※詳しくは「マイホーム借上げ制度」をご参照。https://www.toplife.jp/contents/category/lease/
また、この制度の他に、空き家所有者のご意向や対象となる空き家の属性を鑑みた空き家活用などをご提案させて頂きます。どうぞ、お気軽にご相談下さい。

 

 

 

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