戸建住宅は売るより貸すが良いのです。

「相続した実家」や「住み替えて空き家になった家」。今後、どのように扱えば良いのか思案している方が多くおられます。
その中で、「売る」か「貸す」かの選択支で考えたとき、金銭的な比較検討での軍配は、『貸す』となるケースが多いと思われます。

全ての一戸建て住宅が「貸した方が良い」という訳ではありませんが、多くの一戸建ては「貸した方が効果的な資産活用になる」ポテンシャルを秘めています。
ただ、何年間か貸したその後は最終的に売却ということになるのですが、直ぐに売るよりも一定期間賃貸活用した後に売却する方がより効果的な売却となる意味で「貸したほうが効果的」と捉えて頂ければと思います。また、近年の不動産流通市場は取引価格も安定しており、特に、私たちが活動拠点としている神戸市東灘区を中心とした神戸市東部及び阪神間エリアは、今後の不動産流通価格も安定的に推移する(将来的にも大幅な価格下落が考えにくい)ものとみられていることも「貸す」ことのメリットに繋がっています。

それでは、何故「貸した方が良い」のか、ケーススタディで説明させて頂きます。

■ケース①
◇木造3階建 土地65㎡  建物90㎡ 築30年(3LDK) 固都税約10万円/年 交通:駅徒歩約10分
・売買査定額4,000万円「土地価格:3,500万円・建物価格:500万円」
・賃貸活用時の賃料:12万円 賃貸に伴う改装工事費用:約50万円
 賃料12万円×12ヵ月=144万円/年 ⇒ 10年間賃貸した場合=1,440万円
 1,440万円-固都税10万円×10年=1,340万円(実質収入)
 上記の通り、10年賃貸した後に売却した場合、
 当初売却査定額4,000万円-建物経年償却▲250万円程度と想定=3,750万円(10年間賃貸後の売却額)
 (売却額)3,750万円+(実質収入)1,340万円=5,090万円(10年間賃貸後の売却収支)
 (10年間賃貸後の売却収支)5,090万円-(当初の査定額)4,000万円=1,090万円(差額益)

■ケース②
◇木造2階建 土地50坪 建物120㎡ 築45年(4LDK) 固都税約15万円/年 交通:駅徒歩約15分
・売却査定額5,000万円「土地価格:4,800万円 建物価格:200万円」
・賃貸活用時の賃料14万円 賃貸に伴う改装工事費用:100万円
 賃料14万円×12ヵ月=168万円/年 ⇒ 8年間賃貸した場合=1,344万円
 1,344万円-固都税15万円×8年間=1,224万円(実質収入)
 上記の通り、8年間賃貸した後に売却した場合。
 当初売却査定額5,000万円-建物経年償却▲200万円程度と想定=4,800万円(10年間賃貸後の売却額)
 (売却額)4,800万円+(実質収入)1,224万円=6,024万円(10年間賃貸後の売却収支)
 (10年間賃貸後の売却収支)6,024万円-(当初の査定額)5,000万円=1,024万円(差額益)

 

上記、事例について、2件とも賃貸収入による1千万円超の差額益を得ています。しかし当然ながら、現実的には上記のような計算通りの賃貸活用が出来る保証はありませんが、賃貸期間中に何らかのアクシデントがあった場合でも、これだけの差額益を吸収してしまうような事態はないでしょう。

次に、一戸建住宅の賃貸についてメリットとデメリットを見てみましょう。

一戸建て賃貸活用のメリット
・ランニングコストがあまり掛からない。(分譲マンションのような管理費・修繕積立金が発生しない。)
・賃貸流通市場では「一戸建賃貸」は重宝される。(マンションのように賃貸競合物件が少ない。)
・マンションと比較して、中長期的に住み続けて貰える傾向がある。
・建物の賃貸利用で経年劣化の進行が軽減されます。(空き家のままだと劣化進行が早く進んでしまう。)

一戸建て賃貸活用のデメリット
・台風などの自然災害による屋根や外壁などの修繕リスクがある。

以上が、一戸建て賃貸時の主なメリットとデメリットです。 

何と言っても一戸建て賃貸の大きなメリットは収益率が高いことです。原則、ランニングコストが固定資産税等のみにつき、ダイレクトに毎月の賃料が収益となります。(マンション賃貸の場合は、管理費や修繕積立金の支払いが発生します。)
次に、一戸建て賃貸は、賃貸不動産の流通市場では一般的な賃貸マンションよりも貴重とされており、想定以上の賃料で賃貸できる場合もあります。また、一戸建てを借りる対象者は一般ファミリーが多く、中長期的にお借り頂けるケースが多いのも特徴です。それにより、安定的な賃貸運営が可能となります。

一戸建て賃貸のデメリットですが、それは唯一、修繕リスクです。入居者の日常利用に関係する設備故障などは差ほど高額な修理費用にはなりませんが、屋根や壁面などの大規模修繕が必要となった時には、高額なメンテナンス費用が発生します。ただ、大規模な修繕対応を行った場合は、将来の売却の際、その修繕履歴が売却価格に反映されるという側面があり、トータル的な収支には大きく影響を及ぼさないと言われています。

 

■賃貸リスクについて

賃貸リスクとして、家賃滞納や入居者対応などが挙げられますが、近年の賃貸活用環境では、賃貸保証や24時間365日緊急対応など、各種管理サービスが低コストで充実していることから、賃貸人様にとって大きなリスクではなくなっています。

 

■総合的な見解

以上のことから、「貸す」という選択は、皆様がお持ちの一戸建の効果的な資産活用に繋がることがご理解頂けたのではないでしょうか。
ただ、冒頭にもお伝えの通り、私たちが活動の拠点としている神戸市東灘区を中心とした神戸市東部から阪神間にかけては、今後も当面の間は不動産流通市場の安定が見込める地域だからという前提があります。
逆に、今後、過疎化が見込まれる地域や、既に高齢化が進んでいる地域などは将来的な価格下落リスクのことを想定すれば、直ぐに売却した方が望ましいケースもあります。
今回の事例について、全ての一戸建てに当てはまるわけではないですが、お持ちの一戸建ての「売却」をお考えの際は、一度、賃貸活用も視野に入れてご検討になられることをお勧めいたします。

 

 

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